これがまたタイムリーな話だったので、一年ぶりにちょっと書きます。自分がどんな文体で書いていたのかも忘れたので、とりあえず「ですます」で。
物語の中心に、子供時代に友達と一緒になって遊びで書いた「よげんの書」があって、大人になった後、世界がその「よげんの書」の通りに進んでいく、というようなお話。それはもちろん偶然ではなくて、その友人たちの一人が後に独裁者になっていたからなのだが、そのあたりのお話はまぁいいとして。
私が面白いと思ったのは最後の部分で、大人になった主人公が不思議な装置を使って過去に戻り、子供時代に自分が犯した罪を、当時の自分にちゃんと謝らせるというくだりです。
ここにきてやっとこの映画が自分に響いてきたのは、私自身が大人だからでしょう。
子供時代の夢物語は、常に未来志向です。だからこの映画の子供たちは荒唐無稽な未来を思い描いていたわけです。
しかし、この映画の最後では、大人の夢物語を描いていたのです。
大人にとっての一番のフェアリーテールとは何か?
それは過去を書き換えることではないでしょうか。
子供時代の未来志向とは対照的に、大人の夢は過去志向なのです。
大人になるとはそういうことかもしれません。つまり、書き換えたい過去を持っていること。
この映画では、それが「謝罪」という形で、最後に連続して描かれます。
書き換えたい過去の最右翼は、つまり、最大の後悔とは、謝るべき時に謝らなかったことなわけです。
だから、最後の数分間で、主人公や他の重要人物が頭を下げたり土下座したりしています。
さて、そんなわけで、この「不可能な書き換えに関する映画」に励まされて、私もこれからロンブンの書き換え作業に戻るとします。